滋賀や奈良の美しい日本に触れる、という機会に恵まれて、このところ、「いやー、日本の美だわ」と気持ちが高まっていた。そんな日、ある出版社のパーティで隣合わせた着物姿の女性、黒地に白の桜の小花、絞り染めだ。見ず知らずの方なのに思わず「素敵なお着物ですね」と声を掛けてしまう。本当に素敵、こんなのなら着たい、と着物に何年も縁のない私が思った。お仕事はスタイリストだとか、なるほどね、ちょっと違うもの。着物の選び方、色の使い方、ちなみに帯は艶のある白(鳥獣戯画の刺繍は銀糸)、帯揚げが色のきれいな若緑色。「もっと普通に着物を着たいと思って」会場が騒がしいのでお話が思うようにできなかったのが残念、着物の話をもっと聞いてみたかった。長い髪を一つの三つ編みにし、黒いバッグも特別に着物用でもなく、それよりも何よりも首をまっすぐに姿勢良く、大きく元気に活発に去っていかれたのが私には新鮮だった。この人は着物に負けていない。それでこそ着こなすということなんだな。そういうことに異論を唱える方も多いと思うけれど、着物に縁の薄い私などには、自分なりの気持ちの良い着方があっていいのでは、と考えてしまった。洋服っぽく着るとか崩して着るとか、いろいろ着物を普通にもっていく情報はあるけれど、何か納得できなかったのだ。うーん、上手に世の中を変えていくって、こういうことかもしれませんね。